物理学B(2016年前期)

2016 Education


概要

医歯系の1年生を対象とした基本的な物理学(主に振動波動)を扱う講義です。高校で物理を履修した学生と未履修の学生がおよそ半数ずつの構成(合計約60名)のため、物理の前提知識にとらわれない基本的な考え方を学習することを目標に行いました。主な目的として以下の2つを設定しています。

  • 自らの疑問に対して実験・調査を行う上で必要な物理的な考え方について習得する。
  • 医療診断・治療技術とその背景にある振動・波動に関する物理法則のつながりを理解する。

講義内容


第1回(探究活動で必要な考え方/フェルミ推定)

授業スライド

イントロダクションの後、大ざっぱな見積もりの練習としてフェルミ推定を扱い、実際に推定を行いました。


第2回(探究活動で必要な考え方/統計)

資料:授業スライド

統計的な考え方の基礎として、正規分布・中心極限定理等を学びました。実際にキャンパスの道の長さを受講生全員で歩数で測り、ウォーキングメジャーの結果との比較を頻度分布上で行うことで、統計的な不確かさと系統的な不確かさの違いについて学習しました。

道の長さを測る前に歩幅を測定する様子
道の長さの測定結果。ウォーキングメジャーの結果(174 m)よりも短い結果となった。

第3回(探究活動で必要な考え方/検定)

資料:授業スライド

結果の有意差を検証する方法として仮説検定の基本的な考え方を学びました。実践としてパッケージに7色のチョコが入っているマーブルチョコを用いて、色ごとの数に有意差があるかグループごとに実際に数えて検討しました。

水色茶色ピンクオレンジ全体
グループ115191922161818127
グループ211182019192217126
グループ319191616241913126
グループ415232810191615126
グループ517192020231115125
グループ614231216281320126
グループ712222326131217125
グループ822152023161416126
グループ917222119112213125
グループ1015201812151718115
合計1572001971831841641621247
各グループのマーブルチョコの色調査の結果
マーブルチョコの色を数える様子

第4回(物理学の基礎/因果律・ピタゴラスイッチ)

授業スライド

物理学の入り口ということで、普遍性や因果律決定論について学びました。古典的に考えるとピタゴラスイッチのような初期条件が決まっているものは未来が予測できるはずということで、いくつかのピタゴラスイッチ的からくりの予測をグループで行いました。


第5回(物理学の基礎/振動)

授業スライド

単振動について学習しました。実際に天井自由な長さの紐とおもりを用いて振り子をつけることでできるだけ正確に3分測るグループアクティビティを行いました。

天井から振り子を吊るす様子
グループごとの振り子で測定した時間の結果。各々好きな長さの振り子を作って3分をできるだけ正確に測定することを試みた。

第6回(物理学の基礎/音のスペクトル)

授業スライド

音波の基本的な特徴について学習しました。特に音波をスペクトルという形で表現することでより明解に情報が得られることを学びました。実際にスマートフォンのアプリを用いて声のスペクトルを観察し、母音ごとのスペクトルの違いを調べたりそれをもとにスペクトル情報からなんと言ってるかを考えるアクティビティを行いました。

アクティビティにに用いた母音のスペクトル

第7回(医療技術/超音波エコー)

授業スライド

音波を用いた医療技術としてエコーを紹介し、実際にポータブルエコーを用いて臨床検査技師に来ていただいて体験をしました。

血流を超音波のドップラー効果を用いて表現するカラードプラ法を教室で実演。

第8回(物理学の基礎/音波の技術)

授業スライド

これまで学習した音波の性質をもとに、バイノーラル録音、1/fゆらぎ、音響工学等身近な音の性質について紹介しました。


第9回(物理学の基礎/光の分光)

授業スライド

分光器をグループごとに制作し、蛍光灯やLED等の光のスペクトルの観察を行いました。


第10回(物理学の基礎/視覚)

授業スライド

前回の光のスペクトルから発展して、色が実際にどのようにして知覚されるのか、色覚の観点から学習しました。


第11回(物理学の基礎/回折、フーリエ変換)

授業スライド

回折格子を用いて点光源を絵に射影する花火メガネを紹介し、その背景にあるフーリエ変換について学習しました。


第12回(医療技術/CT,MRI)

授業スライド

CTやMRIといった医療診断の仕組みについて学習しました。


第13回(医療技術/PET)

授業スライド

前回の内容を発展して画像再構成の基礎として最尤推定を学習しました。また、実際にPET検査に携わっている大学院生にPET診断について紹介してもらいました。


第14回(探究活動で必要な考え方/社会における物理)

授業スライド

何かの現象をモデル化してわかりやすくみえるようにするという物理的な考え方は身近なところにあふれています。その例として渋滞や動物集団のモデル化、ホテリング問題、最適停止問題等を扱いました。


第15回(物理学の基礎/社会における物理)

授業スライド

最終回ということで基礎物理について扱いました。自己同一性をどう解釈するかから出発して、基本的対称性の破れという基礎物理の最大の関心事の1つを紹介しました。


レポート課題

本授業では、「自らの疑問に対して実験・調査を行う上で必要な物理的な考え方について習得する」という目標達成のために、実験準備→測定→解析→レポートまでの一連の流れを各々が独自に行うレポート課題を合計2回課しました。レポート課題は以下のとおりです。

第1回

  • 重力加速度を測定して、文献値と比較する。

第2回(以下の中から1つを選択)

  • 音速を測定して文献値と比較する。
  • 身の回りのものを使って1オクターブの音域がある楽器を作成し、音程を決める物理量を調べる。
  • 水溶液の濃度と屈折率の関係を調べる。
  • 自由課題

自由課題では、常日頃の疑問がある生徒が検証方法から検討しレポートを作成しました。内容は以下のとおりです。一部について内容を公開しています。